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誰にでも起こる孤独死。特殊清掃の必要性と費用感とは

孤独死は、突然訪れます。もし、孤独死が起きれば、思わぬ形の別れに心を痛めることになりますが、現実は待ってくれません。孤独死した現場を、すぐに回復させる必要が生じることもあります。今回は、特殊清掃が必要になる状況について解説します。そもそも特殊清掃がなぜ必要なのか、そしていくらくらいかかるのか、まとめてみていきましょう。

孤独死は高齢者だけじゃない。現場から見る原因や増加の理由

孤独死という言葉から「高齢者」を連想する人が多いでしょう。確かに、実際多くの高齢者が孤独死をしています。しかし近年では、若者の孤独死も大きな社会問題になっています。まずは、孤独死の現場で、若者の孤独死事案が増加している実情と理由を紹介します。

 

孤独死が増える理由①経済的な事情

 

若者の孤独死が増えている一つ目の理由は、若年層の経済的な事情です。貧困に苦しむ若者が増えているために、孤独死が増えていると考えられます。

 

厚生労働白書によると、近年若年層の完全失業率、あるいは非正規雇用の割合は増加しています。再就職は簡単なことではなく、精神的なストレスで世間から距離を置いてしまう人も少なくないでしょう。

 

長期失業者の年齢構成

(出典:厚生労働白書|厚生労働省)

 

孤独死が増える理由②結婚しない若者

 

二つ目の理由は、晩婚化、未婚者の増加です。結婚しない若者が増加するにつれて、孤独死も増加すると考えられています。

 

大抵は、20代、30代と体が健康な時期は独身ひとり暮らしでも問題はありません。しかし、やがては生活習慣の乱れなどが原因で生活習慣病を患ったり、想定していないような怪我・病気にかかったりという事態に陥る人もいるでしょう。このような状況に陥ったとき、単身のままひとり暮らしを続けていては、突発的に何か身体的な問題が生じたときに、誰かに助けを求めることができません。

 

孤独死が増える理由③人付き合いの形の変化

 

三つ目の理由は、人付き合いの形の変化です。SNSで人間関係を構築する傾向が強くなっているために、孤独死が増加していると考えられています。

 

SNSを中心に人間関係を構築していれば、実際の近所付き合いは希薄になります。昔と違って、隣に住んでいる人の顔を知らないことはむしろ当たり前の世の中です。このような状況でひとり暮らしをしていると、病気など何かあったときに手の届く範囲にいる人に助けてもらうことができません。

親や親戚が孤独死してしまったら。特殊清掃や手続きの流れ

孤独死は年齢を問わず誰にでも起こりうるものです。では、親や親戚などの身近な人が孤独死してしまった場合、どのような対応をするべきでしょうか。以下では、特殊清掃や手続きの流れについて説明します。

 

身近な人が孤独死したら特殊清掃に依頼を

 

親や親戚などの身近な人が孤独死した場合には、現場が持ち家か賃貸住宅かに関わらず、特殊清掃業者に依頼がおすすめされます。孤独死の状況にもよりますが、遺体が発見されるまでの期間によっては部屋のリフォームが必要になります。そのような対応は素人ではできないと思っていたほうがよいでしょう。

特殊清掃業者は、孤独死の現場を清掃し、部屋の空間を原状回復するプロです。孤独死の現場を掃除するときに行わなければいけないのは、遺体を供養することだけでなく、部屋や建物自体の清掃も必要になります。前述のように、亡くなってから遺体が発見されるまでの間にある程度の期間があると、遺体は腐敗を始めるために異臭や害虫が発生します。また、血液や体液が部屋の床や壁を汚してしまうこともあるでしょう。特殊清掃業者は専門のノウハウで、悪臭や害虫を駆除し、汚損箇所の修復をすることで孤独死の現場の原状回復を目指すのです。

 

孤独死が判明してからの流れ

 

身近な人の遺体が発見されてからの流れを紹介します。

 

身近な人の孤独死が判明した場合、まずは警察を現場に呼ばなければいけません。なぜなら、遺体が発見された以上、事件性があるかを判断しなければいけないからです。事件性の有無にかかわらず、孤独死の現場をすぐに清掃することはできません。警察からの許可がない限り、孤独死の現場はそのままにしておく必要があります。結果として、現場の汚損がさらに進むこともあるでしょう。

 

警察の対応が終わった段階で、ようやく特殊清掃業者に孤独死の現場に入ってもらうことになります。孤独死の現場は臭いがきつく、感染症のおそれもあるために素人が無闇に入るべきではありません。プロの特殊清掃業者に依頼をしたうえで現場を確認してもらい、現場の掃除にどれだけの費用や時間がかかるのか事前に見積もりをもらいましょう。

 

ここで重要なのは、持ち家の場合には遺族だけの判断で特殊清掃業者と相談できますが、賃貸物件の場合には大家さんや管理会社も含めた相談が必要だという点です。現場の清掃だけではなくリフォームなどを含めたスケジュール、費用負担について話し合いが行われます。

 

今後の方向性が確定した段階で、特殊清掃業者との間で契約を締結し、現場の掃除を実施してもらいます。

孤独死の特殊清掃、費用の相場

では、実際に特殊清掃業者に依頼した後、どのような形で孤独死の現場の清掃が行われるのかを説明します。あわせて、特殊清掃の費用の相場についても説明します。

 

孤独死現場の特殊清掃の作業内容

 

まずは、遺体が発見された現場の特殊清掃で実施される作業内容について説明します。

 

【①消毒】

遺体が発見された孤独死の現場について、最初に行われるのは消毒作業です。感染症のおそれがある状況では安全に清掃作業を行えません。当然、次に誰かが住むこともできないままになります。

 

【②害虫の駆除】

遺体が発見されるまでの期間によっては遺体の腐敗が進み、現場に害虫が発生している場合があります。害虫の発生量や種類に応じて、適切な形で駆除されます。

 

【③汚損箇所の清掃、解体、リフォーム】

遺体からの体液や血液によって現場が汚損されている場合には、特殊清掃業者は汚損箇所の清掃、必要に応じて解体を行います。フローリングなどに汚損が染み込んでいると、特殊薬剤を利用しても汚損が落ちないことがあります。その場合には、最終的に張り替え作業などのリフォーム工事が施されます。

 

【④遺品整理】

特殊清掃の作業の中で、故人の遺品がある場合には丁寧に整理します。処分すべき不用品などと区別するためにも、遺族が立ち会うケースも少なくありません。

 

【⑤消臭・脱臭】

孤独死の現場清掃が終了した段階で、オゾン消臭・脱臭作業が行われます。これによって、孤独死の現場に漂っていた悪臭が取り除かれます。

 

特殊清掃に費用の相場はあるのか?

 

「特殊清掃の費用は〇〇万円」と断定的な表現はできません。なぜなら、孤独死ごとに状況はさまざまですし、業者ごとに料金設定や見積もり方法がまったく異なるからです。部屋の大きさや間取りに注目して特殊清掃の料金設定をしている業者、基本料金に加えて、必要な作業ごとに料金を加算する形式の業者、基本料金を定めずに作業ごとに費用を算出する業者など、多岐に及びます。

 

ここで大切なのは、なぜ特殊清掃業者に依頼するのか、という点です。

 

プロに依頼することで、室内の完全な原状回復を目指すのが一番の目的のはずです。孤独死の場合、遺体が発見されるまでの期間、季節、気候、部屋の状況などによって特殊清掃の案件ごとに必要とされる作業が異なります。したがって、プロの目線から現場を見てもらった上で、必要な作業を考えてもらい、状況に応じて柔軟に実施してもらうのが適切と言えるでしょう。

 

もちろん、悪質な業者も存在するので、事前の見積もりは大切なことです。ただ、依頼前に特殊清掃の総額にこだわりすぎると、結局充分な清掃をしてもらえず再度別の特殊清掃業者に依頼しなければいけないということにもなりかねません。したがって、遺族とコミュニケーションを取りながら作業を進めてくれる信頼感のある業者がおすすめです。

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